「vCenter Operations Manager活用法」の連載第3 回のテーマは「統合率を向上させる」です。
サーバ統合率を向上させるための重要な課題
仮想基盤の利用効率を測る基準の一つとして「統合率」があります。これは、仮想基盤上で稼働している仮想マシンの台数を、基盤を構成するESXiホストの台数で割って得られます。すなわち、ESXiホスト1台あたりで動作する仮想マシンの平均台数です。これが高い程、より少ないESXiホストでより多くの仮想マシンを稼働している事を示しており、限られた物理リソースをいかに効率的に活用しているかを測り比較する事が可能です。
当然ながら、統合率は高いに超した事はありません。サーバの台数を最小限に抑えながら可能な限り多くの仮想マシンを作成、稼働させる事ができれば、サーバ統合の見かけ上の効果は大きくなります。しかし、ただ仮想マシンを詰め込めば統合率が上がる訳ではありません。そんな事をすれば、仮想マシンを詰め込み過ぎた結果、仮想マシン間でリソースの競合が発生し、仮想基盤全体の性能が低下する事態、すなわち性能劣化を引き起こしかねません。 また、仮想マシンが稼働するESXiホストにかかる負荷を均衡にすることも重要です。そうしないと、 一部のホストにだけに過剰な負荷がかかり、もうそれ以上の仮想マシンを稼働させられないが、その隣のホストはまだ余裕がある、などという事態が起こり得ます。また、仮想マシンを新たに追加しようにもどのESXiホストで稼働させるのが決めるのに時間がかかってしまう事もよくある事です。結果として、統合率を向上させる事の阻害要因になります。 したがって、統合率を高めるためには下記の2つの要件を満足することが重優です。
- 仮想マシン間でのリソース競合が発生しておらず、仮想基盤に性能劣化が生じていないことを常に確認する
- ESXiホスト間の負荷の均衡を維持し、稼働マシンを追加させやすい状況を維持する
VMware vCenter Operations Manager(以下ではvC Ops)は、前述のサーバ統合率を高めるための2つの重要な要件を満足する機能を提供し、お客様の仮想基盤の性能劣化を避けながらサーバ統合率を高める事を支援します。
vC Opsを使ったサーバ統合率向上のアプローチ
図1は、vC Ops、およびVMware vSphereの機能を利用してサーバの統合率を向上させるためのアプローチを示しています。すなわち、下記の順にプロセスを進め、そしてそれらを繰り返す事によってサーバ統合率の向上を実現する事が可能です。
図1. vC Opsを活用したサーバ統合率向上のアプローチ
- vC Opsの「密度」バッジのスコアに基づき、仮想マシンを少し追加する
- VMware vSphereの機能であるDRS(分散リソーススケジューラ)により仮想マシンの配置場所を自動的に調整し、仮想基盤の負荷を平準化させる
- vC Opsの「ワークロード」バッジをスコアを確認し、仮想基盤全体が過負荷の状態になっていないことを確認する
- サーバ統合率が目標とする値に達するまで1.から3.までを繰り返す
以下では、上記の各プロセスをもう少し詳細に説明します。
「密度」バッジから現在のサーバ統合率を把握し仮想マシンを追加する
vC Opsの「効率」バッジの下にある「密度」バッジは、仮想環境の統合率を測定し表示します。その中の「仮想マシン:ホストの比」が、ESXiホストあたりの仮想マシンの台数をあらわします。これの値が目標をとする値を下回っている場合、仮想マシンを少数ずつ追加します。
「密度」バッジを表示するためには、[ダッシュボード]タブ→[効率]→詳細に順にクリックしていきます。
図2. 現在のサーバ統合率を確認できる「密度」バッジ
vSphere DRSを使って仮想基盤の負荷を分散させる
仮想基盤を仮想マシンを追加する際、および追加した後、その仮想マシンをどのESXiホストで稼働させるのが最適かを判断する事は決して簡単ではありません。特に、仮想マシンの台数が増えてくるとそれが難しくなってきます。
vSphere DRSは、仮想基盤を構成するESXiホストへ対する仮想マシンからのCPUとメモリの要求状況を監視し、一部のホストに過剰な負荷がかかっている事を検知した場合、仮想マシンを自動的に移行させ(vMotionの実行)、仮想基盤全体で負荷が分散されるよう調整します。
vSphere DRSの詳細については当社ブログの記事をご参照下さい。
「ワークロード」バッジから仮想基盤が過負荷の状態にないことを確認する
上記で述べた通り、統合率を向上させる際にもっとも注意しなければならない事は、仮想基盤全体の性能を劣化させないことです。vC Opsは仮想基盤の健全性を監視し、それが過負荷な状態になっていないかどうか管理者がわかり易く表示します。
図3. 仮想基盤に性能劣化が発生していないか確認する事ができる「ワークロード」バッジ
vC Opsの「健全性」バッジの下にある「ワークロード」バッジは、仮想基盤にかかっている負荷の高さを表します。この値が100を超える事は、仮想基盤が提供可能な容量以上の負荷がかかっていて、性能劣化の状態にあることを示しています。つまり、サーバの統合率が高過ぎるのです。
仮想マシンを追加した後、「ワークロード」バッジのスコアが100に達していなければ、仮想基盤にはまだ余力があり、更に多くの仮想マシンを稼働させることが可能です。そこで、上記アプローチの最初に戻って、さらに仮想マシンを追加し、サーバ統合率をもう少し高めてみます。追加された仮想マシンは再度vSphere DRSによって動的に配置されます。仮想マシンの追加後、「ワークロード」バッジのスコアを確認し、それが100に達していなければ更にプロセスを繰り返します。
結果として、仮想基盤の負荷状態(「ワークロード」バッジ)を注意しながら仮想マシンを増やしていくと、目標とするサーバ統合率に達している事でしょう。
このように、vC Opsは仮想基盤の性能を維持しながら、サーバ統合率を少しずつ高めていく事を支援します。その際、難しい負荷状態の計算や仮想マシンの配置場所の決定は全てvSphere,およびvC Opsが自動的に行いますので、管理者は余計な工数を割かれる事もありません。
以上
~VMware vCenter Operations Manager活用法~
第1回 あとどのくらい仮想マシンを載せられるか?(リソース残量を知る)
第2回 どこにリソースの無駄が発生しているのか!(リソースの無駄の把握と削減)
第3回 より多くの仮想マシンを安全に載せていく(統合率を上げていく)
第4回 将来、物理リソースがどのくらい必要か?(重要予測)Coming Soon
第5回 使用環境における�ポリシー�の設定 Coming Soon
via VMware Blogs http://bit.ly/1kAYTSS
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